アプリケーション・ファブリック · 新しい基盤

4つの課題、
1つのアーキテクチャ問題

エンタープライズのプラットフォームは今、はるかに幅広い利用者に応える必要があります。データにアクセスするのは、レポートやアプリケーションを使う人だけではありません。サービス、モデル、エージェント、自動化されたワークフローもまた、それぞれ異なるアクセスパターンと性能要件を持って、継続的にデータを消費します。

エンタープライズ・アプリケーションの新しい基盤

4つの課題は、実は1つの課題

この変化は、密接に関連する4つの課題を生みます。企業は、リアルタイムデータと履歴データを一貫した運用モデルで利用できるようにしなければなりません。AIを活用したアプリケーションを、試作から本番へ持続的に移行させる方法を見つけなければなりません。統制の対象を、ユーザーとデータベースを越えて、アプリケーション、サービス、自律型エージェントにまで広げなければなりません。そしてデータ、意思決定、実行の距離を縮めなければなりません。

これらは通常、別々の技術施策として扱われます。あるチームはデータファブリックを構築し、別のチームはAI開発プログラムを立ち上げ、さらに別のチームが統制の仕組みを導入し、各事業部門は自分たちのシステムを中心にアプリケーションを作り続けます。

個々の問題を独立に解決すると、解決策が交わる地点に複雑さが上乗せされる傾向があります。根底にある要件はより広いものです。企業に必要なのは、データにアクセスし、ロジックを適用し、アプリケーションを構築し、アクションを統制できる共通の基盤です。

課題 01

リアルタイムデータと履歴データをつなぐ

図:ストリーミング、業務システム、データウェアハウス、参照データへ単一のアクセス層を通じて到達する利用者

企業のデータ資産は、世代の異なる技術が積み重なって形成されてきました。取引はリレーショナルデータベースに、イベントはストリーミング基盤を流れ、顧客・商品データは業務システムに、履歴はデータウェアハウスやデータレイクに存在します。

それぞれが本来の目的には適しています。問題が現れるのは、1つの業務プロセスが同時に複数を必要とするときです。1つの判断が、ライブイベント、日中の状態、長期履歴、参照データを同時に必要とすることがあります。すべての利用者がこれらのソースを個別に統合すれば、ポイントツーポイントの接続、重複した変換処理、一貫性のないアクセス制御が積み上がっていきます。

答えは単一の中央リポジトリではありません。ソースシステムが正となる場面も多く残ります。必要なのは、既存のデータ資産全体に対してアクセスを仮想化することです。利用者は安定したインターフェースを通じて照会し、プラットフォームが接続、正規化、権限、キャッシュを担います。リアルタイムデータと履歴データは物理的には分散したまま、運用上は接続された状態になります。

課題 02

本番品質のエージェント型アプリケーションを構築する

図:動作する試作と、統制された本番アプリケーションとの隔たり

チームはいま、アイデアから動作するインターフェースまで数日で到達できます。しかし試作の速さは、概念を示すソフトウェアと、本番で信頼できるソフトウェアの違いを覆い隠します。

本番アプリケーションは、中核のロジックを実行するだけではありません。認証、権限、状態、並行性、エラー、変化するデータを管理し、テスト、デプロイ、監視、アップグレードを続ける必要があります。AIが生成したコードはこれらの責務をなくさず、むしろ増やすことがしばしばです。

持続可能なやり方は、すべての層を生成することではなく、繰り返し必要になる機能をプラットフォーム側に用意することです。開発者とエージェントは、業務固有のロジックに集中できます。目的はアプリケーションを速く作ることではなく、試作から、統制し運用できるソフトウェアまでの道のりを短くすることです。

課題 03

全社規模でデータを統制する

図:データが通る経路全体に適用される権限、リネージ、ポリシー適用、監査

従来のデータ統制は、ユーザー、データベース、レポーティングを対象としてきました。アクセスはアイデンティティとロールに応じて付与され、カタログ、リネージ、監査が情報の利用を記録します。

利用者が増えるにつれ、このモデルは負荷に耐えられなくなります。アプリケーションはユーザーに代わって複数のソースにアクセスし、サービスは人の介在なく動き続け、エージェントは動的にツールを選びます。統制はもはや、個々のデータベースの境界だけでは成り立たず、データが要求され、変換され、行動につながるまでの経路全体に及ぶ必要があります。

プラットフォームは、誰が要求を出し、どの情報にアクセスしてよく、出力をどこへ送ってよいのかを把握しなければなりません。しかも利用者が人、アプリケーション、AIエージェントのいずれであれ、同一に適用される必要があります。権限、リネージ、ポリシー適用、監査をインフラに組み込むことで、環境を進化させながら統制を失わずに済みます。

課題 04

データ、ロジック、実行を接続する

図:検知、評価、承認、実行を1つの運用フローのなかで行う

多くの業務プロセスは、観測から行動までいまだに断片化した経路をたどります。データは業務システムで捕捉され、分析基盤へコピーされ、レポートで提示され、人が解釈し、別の場所で判断として入力され、実行システムへ送られます。

個々のシステムは役割を果たしているかもしれません。それでもプロセス全体としては、遅く、壊れやすいままです。分析する頃にはデータが古くなり、アプリケーション間で文脈が失われ、受け渡しのたびに保護すべき統合が増えます。情報を分析できても、現在の状態に到達できず、統制されたロジックを呼び出せず、承認済みのアクションを起動できないエージェントは、成果から切り離されたままです。

目的は、専門システムを単一のアプリケーションに束ねることではありません。それぞれが自らの役割を保ちます。しかし、共通の運用フローは共有すべきです。その結びつきが十分に近ければ、シグナルを検知し、評価し、承認し、実行に移すまでを、脆い受け渡しなしに行えます。

アプリケーション・ファブリック

4つの別々のプログラムではなく、1つの共通基盤

個別に読めば、これらは同じ予算と同じ技術者を奪い合う4本のロードマップです。まとめて読めば、1つのアーキテクチャ要件を描いています。データにアクセスし、ロジックを適用し、アプリケーションを構築し、アクションを統制できる層です。

その層が、アプリケーション・ファブリックです。

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